地球連邦軍のV作戦により開発された、連邦軍の初期MSの一つであり、主として白兵戦用である。パイロットの帰還率の向上と貴重な実戦データの回収のため、腹部に脱出用小型戦闘機コア・ファイターを内蔵するコア・ブロック・システムを採用している(ガンペリーとの連携で空中換装も行っている)。また、(テレビアニメ版においては)後に開発されたGパーツとの換装により多彩な形での運用も可能である。
ガンダムには当時の最新技術がふんだんに採用されている。特にMS用の各種ビーム兵器はガンダムにおいて初めて実用化されており、それまでは戦艦クラスのメガ粒子砲などに限られていた、ザクなどのMSを一撃で破壊しうる能力を同機に与える事となった。また、あらゆる局面で実戦に耐え得る完成度を実現するために、機体にかけるコストは度外視されており、生産過程で異様に高い水準でパーツの選別を行っている(基準に満たないものを流用して陸戦型ガンダム等の機体が少数量産された)。コア・ブロック・システムによる複雑な機体構造やその高機動・高出力・重装甲はとても量産可能な代物では無かったが、それゆえにその総合的性能は7年後のグリプス戦役時のMSにも比肩すると言われる(ゲルググやジム・コマンド等、単純なカタログスペックにおいてガンダムを上回るMSは一年戦争中にも多数存在する)。従って量産を前提にした機体の先行段階の「試作機」と言うより、MS全体の能力向上、あるいはスタイルの策定の為に追求した「実験機」もしくは「研究機」(コンセプト・モデル)と言ったほうが正しいだろう。しかしながら、そのパフォーマンスの高さから、コストを考慮して機体構造を簡略化した廉価版MSであるジムの量産が行なわれた。
圧倒的な戦果を挙げたガンダムは後のMS開発にも多大な影響を与えた。主兵装としてビームライフルを装備し、格闘戦ではビームサーベルを用い、機体全体に重装甲を施さない代わりに盾を装備する等のコンセプトは後のモビルスーツのスタンダードとして定着してゆく事となる。また、戦局すら左右したその活躍は連邦軍内部に「ガンダム神話」を生み出す事となり[1]、この機体以後も「ガンダム」という名前を冠した、その時々の最先端技術を結集して建造されたシンボル的機体が多数登場することとなる。
武装・特殊装備
基本的な武装として、近〜中距離銃砲撃火器として有効射程20kmのビームライフルを手持ちもしくは腰部後面にスリングし、近接斬撃兵装としてビームサーベルをランドセル両側に各1本ずつ装備している。また近接防御火器として60ミリバルカン砲を左右のこめかみに1門ずつ備えている。これらにシールドを加えた武装は、以後のガンダムタイプでも標準となった。
開発期間をそれほど悠長に取れなかったガンダムの武装は、ビーム兵器を完成させられなかった場合を考え、他にも様々なものが用意されていた。
ガンダム、及びガンキャノン、ガンタンク、Gファイター、コア・ブースターで共通して採用される脱出機能を持つコックピットシステム。
変形して小型航空機形態コア・ファイターになることができる。搭載された熱核ロケット・ジェットエンジンはコアブロック時には核融合炉としてMS用の補助エネルギー源に使用される。
きわめて応用性の高いシステムだが、構造の複雑化による機体の脆弱性や生産・整備コストの増大のため量産機に採用されることはなかった。その独特のシステムから、ホワイトベースのような専用の設備を備えた艦でないと運用が難しかったと思われる。
コアブロックシステムを採用した機体は当然共通規格で作られており、整備用の部品も共通している。一年戦争末期にジオンが行った統合整備計画による操縦系や部品の規格統一は連邦ではMS生産の初期段階からコアブロックシステムを通して全面的に実現していたことになる。またコアブロックシステムを搭載していない機体でも同時期の連邦製ならば操縦系や部品の規格は同じであり、そのためカセット式コクピットブロックシステムを採用したジムも小改造によりコアブロックシステムに換装できるとの説がある。
アニメ第5話「大気圏突入」では、大気圏に再突入したガンダムが、空力加熱に耐えられるように股間のポケットに収納された耐熱フィルムを展開して機体を覆い、無事に生還している。映画版ではよりリアリティのある耐熱フィールドに変更された。これは股間部から噴出するエアーを前方に構えたシールドに吹きつけ、その吹き返しでガンダム本体を覆うフィールドを形成し加熱を防ぐ方法であり、シールドの使用は後のバリュートやフライングアーマーの原型となった。
ガンダムの大気圏突入機能はコアブロックシステムを前提としたもので、本来は上記装備で大気圏突破後Aパーツ・Bパーツを捨ててコア・ファイターに変形し、スペースシャトルのように滑空することにより落下スピードを減殺して地上に帰還することを想定していた。もちろんこのように分離した場合、ガンダムとして戦闘を継続することは不可能である。「大気圏突入」で分離しなかったのは同速度でガンダムと一緒に大気圏突入していたホワイトベースに空中で回収されたためであり、もしそのまま分離も回収もしなければ減速できずに高速度で地上に叩きつけられガンダムもアムロもバラバラになっていたであろう。設定上ガンタンクに大気圏突入装備が搭載されているのもガンダムと同じコアブロックシステム採用機であるがゆえである。
後年発売された書籍等の設定では、アムロが大気圏突入を成功させたのは奇跡以外の何者でもなく、戦後、同じシステムを搭載した機体での大気圏突入テストは全て失敗に終わっており、バリュートシステムの開発が行われたとされている。
この機能は、ガンダムに搭載された人工知能が敵MSをセンサーで察知した際、自動的に狙撃するシステムである。しかし、これはあくまで教育型コンピューターに記憶された情報で動いているので、初期状態では使えないとされている。この機能が使用されたのが確認出来るのは後述のラスト・シューティングだけである。
劇中での活躍
試作機にもかかわらず(きっかけは緊急避難的ではあるが)いきなり実戦に投入され、3ヶ月余りの間に200機以上のモビルスーツと15隻以上の艦船、および5機以上のモビルアーマー(ただし非公認)を撃破するといった戦果を上げている。
機体のテストと最終調整のため搬入されたサイド7に於いて、ジオン公国軍のMS隊の強襲を受けた際に、偶然にも操縦マニュアルを拾い、そのまま成り行きで開いていたコクピットに乗り込んだ民間人の少年アムロ・レイの操縦によって、ザクIIと初のモビルスーツ同士の戦闘を行った末、勝利した。その後はニュータイプに覚醒するアムロの力もあり、ジオン公国軍兵士から「連邦の白いヤツ」(バンダイのゲーム作品では「連邦の白い悪魔」、バンプレストのゲーム作品では「白き流星」)と呼ばれ恐れられるほどの戦果を挙げる。因みに劇中でジオン軍が連邦の新型モビルスーツを「ガンダム」と呼んだのは、第6話でのシャア・アズナブルのモノローグ(「彼がガンダムと戦って死ぬもよし」)が最初であるが、これは脚本上のフライングと思われ、実際にジオン側に「ガンダム」の呼称が伝わったのは、17話でコズンがホワイトベースから友軍に通信して情報を送った際と考えられる。
一年戦争の最終決戦であるア・バオア・クーの戦いに於いては、固定武装の他両手にハイパーバズーカ2挺、腰部にビームライフル、背部にシールドという空前の重装備で出撃。シャアの搭乗するジオングと交戦の結果相討ちになり、大破・放棄される。この際、左腕と頭部を失いながらも仁王立ちとなり、上方を飛ぶジオングの頭部をビームライフルで撃破したシーンは「ラスト・シューティング」と呼ばれ、ポスターなどに数多く描かれてきた名シーンである。このあとジオングの放った最後の一発が右腕と右足に命中、行動不能になったがコア・ファイターの分離システムは生きており、アムロがア・バオア・クーからの脱出に使用した。
アーケードゲーム『機動戦士ガンダム スピリッツオブジオン 〜修羅の双星〜』ではボス敵として登場。同ゲームの主人公であるカート・ラズウェル中尉とロビン・ブラッドジョー中尉の駆る高機動型ザクII改2機と交戦し、苦戦をするが、後に2機とも撃破している。アムロ搭乗のガンダムにより高機動型ザクII改2機が撃破されるシーンがこのゲームのエンディングで流れる。
この型式番号 (RX-78) の由来は、アニメの企画書においてガンダム(ガンキャノンとガンタンクも含む可能性あり)の機体番号あるいは作戦番号を「VX-78」とする記述が存在したことと、第1話の台本でブライト・ノアが「ガンダーX78」と言っている台詞が存在している事による。この台詞は実際には採用されず、TVシリーズ放映中に他のMSを含め形式番号が設定されることはなかったが、劇場版第一作の公開前に「RX-78」という型式番号が付けられた。これを提案したのは、当時ラポートのアニメ雑誌「アニメック」の編集長で、富野由悠季と懇意だった小牧雅伸。テレビ版に登場した兵器の型式番号の多くは彼が「アニメック」誌上でつけたものである。「RX」はマツダのスポーツカー「サバンナRX-7」から。当時大河原邦男の愛車であった。
放映当時はガンダムは映像に現れた1機しか存在しないという設定であったが、後に小説版『機動戦士ガンダム』においてアムロが最初に搭乗したガンダムは2号機という設定が生まれ、みのり書房発行の雑誌「月刊OUT」増刊『宇宙駆ける戦士たち ガンダムセンチュリー』にてさらにその設定は発展した。そして『モビルスーツバリエーション』(MSV) の誕生によりアニメ準備稿からプロトタイプガンダム(1号機)が、小説版からG-3ガンダム(3号機)が生まれ、さらに、プラモデル「1/144 RX-78-1プロトタイプガンダム」の解説書で小田雅弘が語るところにより全部で8機が製造されたという設定になった。
RX-78という型式番号の後の数字には機体の仕様(バージョン)の意味が持たされたが、後に機体の製造番号の意味に変更され、RX-78-2ならば、RX-78シリーズの2番目に製造された機体という意味となった。G-3ガンダム以降の機体は『MSV』ではプロトタイプガンダム初期試作型(一説にRX-78-2)の4~8号機という文字のみの設定であったが、バンダイ発行の雑誌「SDクラブ」の連載企画『大河原邦男コレクション』(M-MSV, モビルスーツコレクション)にて4~7号機が再設定され、独自の型式番号が与えられている。
近年、設定は『MSV』のものに戻され、RX-78の後につく数字は仕様を表す事となった。すなわちRX-78-1であればRX-78の1番目の仕様、という風にである。この設定によりアニメで活躍したガンダムは、当初プロトタイプガンダムとして製造された機体の2号機を改造してRX-78-2仕様としたものであり、後にマグネット・コーティング等の処置を受けてRX-78-3仕様と同等にまで改修を受けている、という複雑な遍歴を持つ機体になった。
ガンダム以外のモビルスーツや艦船にも言える事だが、設定よりもかなり大きく作画されてしまっている事がある。特に「時間よ、止まれ」の回は顕著である。富野監督によると、これはアニメーター・背景作画などの問題との事(「映像の原則」より)。